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ぬるま湯雑記帳

口上・巻之一

女子寮騒動顛末 をんなのそのさわぎのあれこれ  


ふくすけ 口上 こうじょう
 
 今を去ること五年前、私は女子大の学生寮で寮生活を送っていた。年々時間は加速していき、<十年ひとむかし>などという言葉はすでに通用しなくなってしまった。一年ごとに確実に<ひとむかし>になっていく。だから私がこれから書こうとしていることは、おそらく過去のことだ。現に私たちが退寮してからの変化には、目を見張るものがあった。これらのことにもいずれ触れるだろうが、暫くはこの妙ちきりんで愛すべき(?)過去について書いていきたいと思う。そしてこれは私の夢でもあった。


ふくすけ 巻之一 怖哉無知仇花 おそろしきかなむちのあだばな
 
 だいたい私が女子大に行くということ自体が周囲を驚かせた。当の私も驚いた。二次募集の女子高校に行くのが嫌で浪人までした自分が、唯一受かった大学とはいえよくぞ女子大へ…というのが正直なところだった。そして寮生活。わが大学は一・二年次は埼玉の入間、その名も「狭山台校舎」での学生生活になるのだが、地方出身者の私としては埼玉(というより関東全般)は未知の世界で、知り合いもいなければ独り暮らしのあてもない。若干の抵抗はあったが、とにかく寮に入らなければ話にならないのだった。
 母親は寮のパンフレットを読みあげる。「駅からスクールバスだって」「へ~」「四人部屋だって」「へ~」「ご飯もちゃんと出るって」「へ~」「自然が多くていいとこらしいよ」「へ~」一部屋に四人という人数は、わが家の家族構成数を上回る。ましてや同世代と寝食を共にするなんざ、修学旅行の三泊四日がせいぜいだった。そこに一抹の不安を覚えたものの、母親の「きっといいとこだよ」という言葉にただ頷いていた私。のちに目の当たりにすることになる、数々の衝撃的で夢のような(夢であってほしかった)事実を、私はまだ知らない。(続く)


1996年6月1日発行 佐々木ジャーナル第九号より(一部変更) 千曲川薫


ふふふ、へんにチカラの入った文章ですね。ちなみに、口上には退寮後のことは後に触れるとありますが、たぶん触れぬまま終わってます。いい加減なのねー。



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